サックスの歴史

サックス(サキソフォン)は1840年代にベルギーの楽器製造者(演奏者、指導者でもある)アドルフ・サックスにより設計されました。サックスの名前は製作者のアドルフ・サックスに由来しています。

1846年にはパリでソプラノサックスからバスサックスまでの特許が取得されました。

木管楽器のレスポンスの速さと金管楽器の遠くまで伸びる音色、木管楽器と金管楽器の良さを併せ持つサックスは、本体はブラス(真鍮)製でありながら発音機構はクラリネット等と同じく「シングルリード」である為、木管楽器に分類されています。

サックスは当初フランスの軍楽隊で重宝されていました。木製のクラリネットなどよりも天候に左右されない側面もあったからでしょう。

しかしヨーロッパのクラシック音楽の中にはなかなか浸透しませんでした。翳りを見せるサックスの人気・・。パリの音楽院では1870年からはサックスの授業が行われなくなるなど低迷期を迎えます。

(例外的な部分もあります。1872年に発表されたジョルジュ・ビゼーの アルルの女(全27曲)や、1928年のモーリス・ラヴェルによる ボレロ の中にはサックスが非常に効果的に使われています。)

<アルルの女>第2組曲 2間奏曲
<ボレロ>

(クラシックでは珍しくマークシックスが使われていますね!)

そんな低迷した時期、サックスの人気を支えたのはアメリカです。

1872年、サックス奏者のエドワード・A・ルフェーブルはニューヨークに渡り、演奏とサックスの普及活動を開始。1880年代の終わり頃に金管楽器メーカーのC.G. コーン社に協力を求めます。

当時は手に入りにくく高価で、機構的に信頼性の低かったヨーロッパのサックスを改良し、安価で手に入りやすいアメリカ市場向けのサックスを開発したのです。1890年代にはC.G. コーン社と関連会社のブッシャー社にてサックスの生産体制が整い、サックスはアメリカでは飛躍的に入手しやすくなりました。

そして1920年代にはジャズの流行と共に大衆への認知度も高まっていき、黄金期のジャズの象徴的楽器となっていくのでした。