今何故ヴィンテージサックスなのか?
価格高騰が続くサックス市場
近年サックスはセルマー・パリ社の製品を筆頭にかなりの値上がり傾向にあります。
2021年2月25日に発売されたアルトサックス「シュプレーム」は基本的なグレードであるダークゴールドラッカー仕様が¥1,130,000(2024年現在)という価格です。
しかも販売店の裁量で以前は行われていた1、2割程度の割引は完全に禁止されているようです。(セルマー・パリ社のブランディング戦略なのでしょうか。)
2023年9月15日に新ラインナップ「シグネチャー」も発売されましたが、基本グレードのダークシグネチャーラッカー仕様が¥905,000(2024年現在)となかなかの高値です。
「シグネチャー」はセルマー・パリ社自信がアナウンスしている通り「スーパーアクション80 シリーズ2」をブラッシュアップしたモデル(野中貿易ウェブサイトより原文のまま)なのですが、90年代の頃は実売価格、新品30万円台でシリーズ2は手に入っていたのです。この価格の高騰には少し驚きを感じずにはいられません。
(ちなみにシリーズ2 アルトサックスのゴールドラッカーの価格は、2024年現在¥825,000です。)
ヴィンテージサックスの価値
80年代頃でしょうか?諸外国、特にアメリカでヴィンテージサックスはガラクタ同然の扱いを受けていました。その頃日本の楽器店(特に石森楽器など)がヴィンテージ楽器の素晴らしさに着目、輸入し完全なオーバーホールを施した結果、その価値は再評価され価格は高騰しました。
ヴィンテージサックスの価値に最初に着目したのは日本人だったのです。(ジーンズのヴィンテージと似ていますね!)
ヴィンテージと呼ばれる楽器は手作業の工程が多く現在ではもう製造できない職人の技術力が詰まっています。楽器は販売から数十年経てば自動的にヴィンテージと呼ばれるわけではありません。
ですからコストカット、機械化が進んでからのシリーズ2などは決してヴィンテージと呼ばれることはないのです。もちろんシリーズ2は良い楽器です。筆者自身も愛用していました。
でもヴィンテージかと言われるとそうではないのです。
現在の楽器、特にセルマーのサックスの歴史は「コストカット」の歴史です。
例を挙げると装飾を簡素化し、手彫り彫刻さえもレーザー彫刻になりました。
目に見えないところなど尚更でしょう。
ジュビリーになってから、特にシリーズ3は管体が薄くなりました。一時期筆者もテナーを所有していましたが、太い息には対応できず、メリメリと風船が破裂前のような緊迫感を感じるような有様でした。(結果すぐに手放す結果になりました。)
体力のない方や女性には向いているのかもしれませんが・・・。
今!!そういった現在の楽器の価格が、かつて憧れだったヴィンテージ楽器の実売価格を軽く上回っているのが現状です。
楽器の価格は景気の動向に左右されます。円が弱い昨今では価格上昇も致し方ないのかもしれません。
でもヴィンテージと呼ばれる楽器の方が簡素化され続けた新品よりも安い場合があるとしたら??
今この時こそ憧れのヴィンテージ楽器を選ぶチャンスなのかもしれません!