アンブシュア実践編

ポピュラー系サックス奏者のアンブシュア

前回はクラシック奏者のアンブシュア、ポピュラー系サックス奏者のアンブシュア、シンリップ奏法、日本におけるファットリップ奏法の時代背景などについて書きました。

その中で私が提案する「真・ファットリップ奏法」(実際は正しいファットリップ奏法)について今回は実践的にお話しようと思います。

実際のアンブシュアの作り方

それではまず唇の作り方!!

はひふへほで言うところの 「ふ」の発音をするつもりで唇をセットしてください!!この際口角ははやや上に、唇は自然に少しだけ横に広がっていると思います。この形が基本形です。そして唇はすぼめようとせず、かといって横に引こうとせずその形のままステイする様に気をつけましょう。口角でこの形を維持して下唇にはなるべく力が入らない様にしましょう。

次にマウスピースを咥えるのですが、まずは上の歯とをマウスピース先端から1センチほどの定位置に当て、先ほどの「ふ」の口の形に戻しましょう。

(余談ですがこの時口の中は「ヒー」と発音するように舌の左右の縁が口内の上顎に触れている様にしましょう。唇は「ふー」口腔内は「ヒー」唇から口腔にかけては合わせて「ふヒー」って感じでしょうか)

音の出し方

そして柔らかな音色を目指して音を出してみるのですがここで段階を踏んでみましょう。

まずは下唇が自然に潰れる感じでマウスピースを咥えた状態から息を流してみましょう。ここでは音を鳴らさず息がただただスルーする状態を確認してみてください。息が素通りしている状態を確認できたら次の段階へ!!

息を流しながら、マウスピースを咥えて自然に潰れている下唇の圧力を(マウスピースに下唇が触れる圧を)ほんの少しずつあげてみてください。あくまでも柔らかく!!ゆっくりと!!息も少なめで大丈夫です。どこかで少しずつ息が音に変わる瞬間があると思います。

決して急がず!!普通に音が鳴ってしまったらもう圧力は強すぎ!!息を吹きながら少しずつ下唇の圧をあげていくとうっすらと音に変わる瞬間がある!!その感覚を掴んでください!!

何これ??実際吹く圧力と全然違うから意味がない??そう思う方も多いと思いますが!!実は音の出るポイント!!この辺りの圧力で実際音を出しているのがポピュラー系サックス奏者の音の出し方なのですよ!!

余談ですがこの奏法を覚えたらおそらくチューニングが激変します。信じられないほどマウスピースを深く入れる事になると思います。ですから見る人が見ると!!チューニングの位置(マウスピースの深さ)だけ見ても!!その奏者が柔らかい音なのか、硬くて細い音なのか予測できてしまうんです。音を聞かなくたって!!

もちろんこの時は!!前述したアンブシュアの作り方、口腔内の下の位置などを正しく守ってください!!

応用すると

この辺りの下唇の圧力で音を出すことをを覚えると!!色々な音色に応用できます!!

サブトーン!!枯れたジャズらしい中音域!!太く豊かな音色!!高音域のファズトーン!!これら全てに必須なテクニック!!これが下唇を柔らかく使ってリードの振動を最大限に効率よく使う方法であります。効率よく使えるということはあえての効率を落とした音色を作れるということでもあります。

サックスの様々な音色!!その幅を広げてくれるのが「真・ファットリップ奏法」なのかもしれません!!

練習

この辺りの下唇の圧力で音が出る様になったら、ロングトーン、スケールなど基本の練習をその音色で演奏できる様にしましょう。

簡単に言いましたがこの音色を身につけるまで私は5年はかかりました。簡単にはいかないということを念頭に置いてじっくり練習することをお勧めいたします。しかしやがてそれはあなたの自信に変わり!!演奏の説得力へと変わるのです。