速いパッセージ!!一音一音吹き直してない??

もう一度呼吸の重要性

息のスピード、タンギングについて以前に書きました。

ちなみにサックスに限らず習い事をする上で最も重要な事は、実は一番最初に教わる事である場合が多いと思います。重要な事は最初に聞いた時には、その大切さに気付くことができず、サラリと見過ごしてしまうことがよくあります。

実際大事なことが理解できるのはある程度のレベルに到達した時。さらにレベルアップした時に再度最初から言われている大事なことの重要性に気が付く。こういう事の繰り返しが起こります。

まるで同じところをループしているような!螺旋階段に迷い込んだような気分になることもあるでしょう。

しかし
ご心配なく!!

螺旋階段は同じところをくるくる回っているようでありながら、ちゃんと着実に上に(上のレベルへ)上がっているのです。ですから一番最初に教わる重要な事は、生半可に理解した気にならず、反芻して常に考えておくことが必要です。

今回触れる重要な事はもう一度呼吸についてです。

まずこの動画をご覧ください。

膨らんだ風船のおもちゃ(毛笛というそうです)は親指によって空気の流れを遮断され音が止まりますが、親指を解放するとストローの先からは音が出ます。

この時風船が縮もうとする力で、一定の圧力が空気の出口(ストローの先)にかかっています。

親指を離せば音が鳴る!
これがサックスで言うところのタンギング(舌をリードから離す動作)であり、

親指でストローの空気の流れを止める!
これがサックスの音の処理(舌でリードの振動を止め、音の最後の処理をする)です。

そして音が鳴っていようがなかろうが常に空気の出口には一定の空気の圧力(漏れ出でる空気の圧力)がかかっている。

これも!
このおもちゃとサックスとに共通する事です。

サックスにおける息のスピードを上げるとは同じ一定の空気の圧力がかかっている状態で、口の中の形を変え息の流れるスピードを変化させること。

(具体的には口の中の舌の形をヒーという発音からイーに近くする事によって息のスピードを上げること。高音部ではイーに近く、低音部ではオーに近く発音し、温かくゆっくりとした息の流れを作る。)

これが基本であり最も重要な事です。

速いパッセージ!!一音一音吹き直してない??

前述の息の流れが重要であるということは基本に念頭においた上での話です。

よく、「速いパッセージで指が動きません。」こういう質問を受けることがあります。

例えばピアノの経験もある生徒さんで、指は早く動く自信のある生徒さんにもこのようなことが起こります。何故なのでしょうか??

答えはほとんどの場合こうです。

音を一音一音吹き直している!!
つまり息の流れはいちいち遮断され、息の圧力のない状態でサックスを構えている。

それではいくら指が動いたとしても流暢なパッセージとして前には出てきません。

風船のおもちゃを連想してください!!
もし割れた風船だったとしたら、いくら親指で空気の流れを遮断しても何の意味もありませんよね??

膨らんだ風船が一定の圧力で縮んでくれるからこそ親指の空気の遮断と連動して音が鳴ったり鳴らなかったりするのです。

これはサックスで速いパッセージを吹くときとも共通していることです。

速いパッセージを楽に吹きこなすには、一定の息の圧力が最も重要だと言えるのです。

何がわからないかわからない

先日専門外ではありますが中学校の吹奏楽部でホルンを吹いている女子生徒の様子を見てほしいと頼まれ、音を聞く機会がありました。

楽譜が早く読めない。
いい音がどういうものなのかわからない。
音の出だしがプルルッといってしまう。

など色々と質問を受けたのですが基本的には何がわからないかわからない状態でした。

専門外の筆者ではありますがサックスと共通するノウハウの部分もあるので思ったことを口にしてみました。

まず息の吸う量が圧倒的に少ない。そして息の圧力が足りない。音の出だしでプルルっといってしまうのは唇がこなれて柔らかく使えるようになる段階でよく起こること!!だから気にしない!!・・・色々いったのですが総括として!!

全ての動作において覚悟が足りてない!!

つまりは息を吸うのも中途半端!!お腹から息を支えて圧をかける力も足りてない!!
音も小さい!!プルルっとならないように逃げながら吹いている!!

一度全身全霊をかけて息を吸い!音を出し!持久的な息遣いを体力の限りチャレンジしてみてくださいと言いました。

そうです何がわからないかわからないってのは!!
本腰入れて吹いていないからなのです。

そうなると!!変な力が入ってオーバーブローになるかもしれません。
音が割れてしまうかもしれません。

でも!!殻を破って全身全霊で体力の限り吹いてみる(持久的な意味でですけどね)!!これが大事と思いました。

やり過ぎの部分は後からどうにでも修正が効きますが、本腰を入れてない音はどうにも上手くなりようがないのです。

サックスでもC#〜Dあたりの音のひっくり返りを気にして息を逃げるように吹く癖のある生徒さんをよく見かけます。

逃げていてはいつまで経っても上手くなりません。失敗を恐れずにきちんと息の圧力を重視して練習していけば、自ずと音がひっくり返ることなどなくなります。(単純に指の動かすタイミングの話ですから)

逃げて吹いている人の演奏では聴衆の心は動かせませんからね!!