タンギングって何??

息のスピード補足

前回「息のスピード」について書いたときにも触れましたが、サックスを演奏する上で最も重要になるのは一定の息の圧力なんです。

前回の補足的意味で今度は別の方法で演奏時の息の圧力を体感してみましょう。

タンギングの正体

日本語で「ター」と発音するときの事を思い描いてください。舌が上顎に接触し息の流れをストップしている状態から「ター」と発音する瞬間に、舌が上顎から離れ遮断されていた息の流れが解除され声が発せられます。

そのことはきっと容易にご理解いただけると思います。

そこにプラスして!
横隔膜を下げるイメージで沢山吸った空気、それを「ター」の発音の前段階の状態で舌を上顎にくっつけて遮断してください。

この時おへその下あたりに雑巾を絞るような感覚で力を入れておいてください。

もう一度「ター」と発音し!
そして「ター」の最後は上顎に舌を付けて「ター」と発音する前の状態に戻してみてください。

これを連続して試してください!

舌を離せば「ター」という声が発せられ、舌を上顎につけると「ター」という声が止まる。
その間お腹の空気のタンク(風船が縮むのをイメージしてください)から送られる息の圧力は一定で!!

どうでしょうか?
「ター」という声が出ているときも出ていない時も一定の息の圧力がかかっている状態を理解できたでしょうか?

そうなんです!
サックスを構えて音を発して音が止まるまでの間(吸気のため息を吸うまでの間、もしくは余った空気を排出した後で吸気を行うまでの間)サックス奏者はずっとお腹の息の圧力と向かい合っていなければならないのです。

話を「ター」の発音の場合に戻しましょう。

上顎に添えて遮断している空気を解放することで「ター」という声を出し上顎に舌をつけると「ター」という声が止まる・・。

実は!これがタンギングの仕組みなのです。

実際のタンギング

実際のサックスのタンギングについて考えていきましょう。

マウスピースを咥えた時リードに対して舌はどの辺りに位置しているのでしょうか??

おそらく普通にマウスピースを咥えると舌先から2、3センチの辺りがマウスピースのリード先端付近にベタッとくっついてるんじゃないでしょうか?

先端付近であって決して先端ではない場所!

それでいいんです!!

タンギングとは!!このベタッとくっついている状態で音を遮断している舌を離してあげることなのです。

そして音の最後は舌をリードに戻してくっつけることで音が止まる!この一連の動作がタンギングなのです。

おそらくタンギングは「舌でリードを突くこと」って思ってた方も多いのではないでしょうか??

その考えはもう忘れてください!!

もう一度言います!!
タンギングは舌を離して遮断していた音を解放し!音の終わりはリードに舌をくっつけて音を遮断する!!

これがタンギングの正体なんです。

今はまだ触れませんがジャズには「ハーフタンギング」というテクニックがあります。

これは音を舌の動きによって半分遮断しフレーズに抑揚を出す技法です。ジャズのあのアクセントと飲んだような、引っ込んだ音からなる立体感!!これは口の中の動き、舌の動きと一定の息の圧力から発生するものです。

決して抑揚に合わせて息の圧力を操っているわけではありません。そんなこと間に合うはずもないしできるわけがありません。

講師としての反省点

筆者は何人ものサックス奏者を教えてきましたが、大切な息の圧力についてどう教えても理解されないということが何度もあり・・伝え方を随分模索してきました。

例えば「お腹から息の圧力をかけて!!」というとバカでかい音になってしまったり・・。

息の圧力というのはイメージとして膨らんだ風船が徐々に一定の圧力で萎んでいく様をイメージして欲しかったのですが・・。

バカでかい音になってしまうということは風船を破裂させてしまってます。握りつぶしていると言ってもいい。

この辺りのイメージの伝え方・・難しいです。

冒頭で触れた「ター」という発音の発声。この時ってものすごい息の量を使って発声していませんよね??

サックスの音を出すためのの息の量も、そのくらいの「漏れ出る量」で十分なんです。

お腹から息の圧力かけてと言ってしまうとコントロール不能な程の息を吹き込んでしまう生徒さん。

今後は「お腹のおへそ下あたりにギュッと力を入れ続けるイメージで!!」これくらいにしておこうかと思っています。

息が一定の圧力を得るためにお腹で支えてあげる!

ただそれだけなのですから・・。難しい。

結論

タンギングとは!!
お腹から漏れ出る一定の圧力の息を舌で止めている状態から!リードから舌を離すことにより音を発生させる事!!

音の終わりもリードに舌を密着させて音を止めること!この一連の動作を「タンギング」と呼びます。

何度も繰り返して言いますが、楽器を構えて音を発する準備ができたところから次に吸気するまでサックス奏者は息の圧力とずっと向かい合っていなくてはなりません。

タンギングとは舌を離し音を解き放つこと!!

音の終わりは舌でリードの振動を止めることで作る。
ここを徹底しないと絶対にサックスは上手くなれません。

筆者自身も若い頃から、少し上達してはこの息の圧力問題に直面、大事さを痛感!!
これを何年も繰り返してきました。

その度に!基本となるこの問題の大事さを思い知ってきたのでした。