厚いリードを使うのが上級者??
厚いリード自慢!それって意味あるの?
吹奏楽経験のある方ならよく耳にしたことのある話だと思いますが、
「上級者は厚いリード初心者は薄いリードを使うものである」
「そんな風に聞いていたし実際そうなんでしょ??」
結構な割合でそう信じている方々がいるんじゃないかと思われます。
これってどうなんでしょうか??
実際問題、初心者に柔らかめのリードを使うように指導することはあります。
それは兎に角音を鳴らす感覚を覚えてもらうためです。
そういう意味では初心者は柔らかいリードをつかう、これは間違いではありません。
しかし本来リードの適正な厚みはマウスピースのティップオープニング(以下オープニング)と密接な関係にあります。オープニングが狭めなマウスピースには厚めのリード、オープニングが広めのマウスピースには薄めのリードが合う。これが基本的な考え方です。
ジャズやポピュラーサックスのセッティング
ジャズやポピュラーのジャンルのサックスの場合、オープニングが広めのマウスピースを使うのは珍しくありません。
(オープニングが広いマウスピースが得意とする表現など利点もあるからです。もちろんオープニングの狭いマウスピースの利点も多数あります。)
オープニングが広いマウスピースの場合は必然的に薄めのリードを合わせることが多くなります。筆者は以前アルトのラバーのマウスピースはバンドレンのJAVA A45を使用。リードは緑箱のJAVA2 1/2(いわゆる2半)を使っていました。
薄い!!と驚かれることも多かったですが自分のプレイスタイルも含めバランス的には間違っていなかったと思っています。もちろんオープニングが変わると合うリードも変わってきます。
吹奏楽部の経費問題
じゃあ何故??吹奏楽部などでは厚いリードを使うことが上級者の証!!のような説がまかり通っているのか??
単純に薄いリードは耐久性が低いからです。
中学生の頃の筆者はトロンボーンを吹いていました。金管楽器にはそんなに消耗品の予算はかかりません。
部費の多くは木管楽器のリード代として消えていっていました。もちろんしょうがない話なんですけど。
そう言った場合指導者としてはどう考えるか??リードの耐久性が高い方が運営的にありがたい!そうなっていくのは自然な流れです。
厚ければ耐久性のあがる木管楽器のリード・・。鳴りやすい薄いリードは初心者でも吹けるけど、厚めになってくると人を選ぶ・・・!!上級者は厚いリードを使うものだという理論が蔓延しやすくなる原因ですね。
(吹奏楽やクラシックの場合、実際にはセルマーのワンスターに合わせるのはバンドレン青箱の3くらいが標準的なのではと思います。)
実際はどうなのか??
逆のことをあえて言わせてもらうと、マウスピースが同じオープニングなら、リードは厚い方がいい音が出るのは事実です。
しかし!厚いリードをつけている奏者のほとんどがそのリードを鳴らしきっていないのが現状です。無駄に厚いリードを使っている奏者を沢山見てきました。
筆者が学生時代は音楽大学に在籍していました。専攻はサックスではありませんでしたけど。
そこの経験上、クラシックの世界ではやはり厚いリード信仰はあると思います。標準的ワンスターに青箱4くらいをつけて吹いている先輩の音を覚えています。
柔らかい音だ!!って評判でしたけど筆者が思うに、リードを鳴らしきれてない「モーン」とした音を柔らかい!!って言ってるだけじゃん!!と今になっても思います。
クラシックではあたりまえなことみたいですが、厚いリードをガッチリと噛むアンブシュアで吹くと下唇に非常に負担がかかります。ですから学生時代サックス専攻の方々は下の歯にクリーニングペーパーを折って挟み、下唇のクッションとして使っていました。
筆者は当時はそれに憧れたんですけどね。
ジャズやポピュラーのサックスでは下唇を柔らかく当てるというのが標準的な奏法なので、卒業後習ったジャズサックスの師匠に
「そんなことやめなさい!!」
と一喝されたのでした。
結論
結局!リードは厚いほうが上級者というのは真っ赤な嘘です!!
(少なくともジャズやポピュラーの世界では。)
標準的なセッティングを調べ、そのうえで自分に合ったセッティングを導き出し!
良い音をなるべくストレスなく出せるセッティングを探してください!!