スーパーバランスアクション(1948~1953年)
型番としては一つ前のモデルであるBALANCED ACTION(バランスアクション)はトーンホールの並びがインライン(トーンホールが管体に一列のライン状に空いている)であったのに対し、スーパーバランスアクションはオフセット(一列ではなく指の形状に合わせてトーンホールを配置)へと変更され操作性がかなり向上しフィガリングの自由度が増しました。
操作性の観点から言うとこのモデル以降が実際の演奏に適していると言えるでしょう。
現代のサックスとは異なり彫刻はかなり手の込んだ仕事が施されています。
ネックの可動部分はこのモデルまで太いワイヤーから形成されており、セルマーの象徴であるマーク6以降のS字マークはありません。
ジョンコルトレーンの愛器としても有名です。管体の軽さも関係していますがサウンドは若干軽め。
テナーの場合パワーを全面に押し出すプレイヤーよりは太い息を持久的に使い独特のサウンドを求めるプレイに向くと思います。
筆者はアルトの試奏を何本かした事がありますが得られるサウンドはやや小ぶりの印象でした。
逆にこの機種が使われていた時代の音場というか演奏時の各々の楽器のサウンド、サイズ感を押し測れる貴重な経験だったと思います。
アルトもパワープレイには少々向かないと思います。ストレートなジャズコンボなどでの使用が想定される機種です。