マウスピースだけで音を鳴らす練習??そんなの意味ないよ!!

「初心者はまず!!マウスピースだけで音出し練習ね!!」「ダメェ!!」

前回「アンブシュアの実践編」で下唇を柔らかく使う事がポピュラーサックスに必須なテクニックであると書きました!!詳しくはもう一度こちらををご覧ください!!

さて!!ここで一つ!!皆様にも身に覚えがある練習の仕方について一言物申させていただきたいと思います!!皆様!!最初にサックスを始めた時!!ほぼ全員がこの練習を経験してきたのではないでしょうか??それは!!

「初心者はまず!!マウスピースだけでリードを鳴らす練習をする!!」

・・・・こんな事が・・・後々のサックス人生に・・・・暗い影を落とすことに・・・なろうとは・・・・・一体誰が想像できたでしょうか??

下唇の圧力

ここで!!「アンブシュアの実践編」からこちらを引用します!!

実際のアンブシュアの作り方

それではまず唇の作り方!!はひふへほで言うところの 「ふ」の発音をするつもりで唇をセットしてください!!この際口角ははやや上に、唇は自然に少しだけ横に広がっていると思います。この形が基本形です。

そして唇はすぼめようとせず、かといって横に引こうとせずその形のままステイする様に気をつけましょう。口角でこの形を維持して下唇にはなるべく力が入らない様にしましょう。

次にマウスピースを咥えるのですが、まずは上の歯とをマウスピース先端から1センチほどの定位置に当て、先ほどの「ふ」の口の形に戻しましょう。(余談ですがこの時口の中は「ヒー」と発音するように舌の左右の縁が口内の上顎に触れている様にしましょう。唇は「ふー」口腔内は「ヒー」唇から口腔にかけては合わせて「ふヒー」って感じでしょうか)

音の出し方

そして柔らかな音色を目指して音を出してみるのですがここで段階を踏んでみましょう。

まずは下唇が自然に潰れる感じでマウスピースを咥えた状態から息を流してみましょう。ここでは音を鳴らさず息がただただスルーする状態を確認してみてください。息が素通りしている状態を確認できたら次の段階へ!!

息を流しながら、マウスピースを咥えて自然に潰れている下唇の圧力を(マウスピースに下唇が触れる圧を)ほんの少しずつあげてみてください。あくまでも柔らかく!!ゆっくりと!!息も少なめで大丈夫です。どこかで少しずつ息が音に変わる瞬間があると思います。

決して急がず!!普通に音が鳴ってしまったらもう圧力は強すぎ!!息を吹きながら少しずつ下唇の圧をあげていくとうっすらと音に変わる瞬間がある!!その感覚を掴んでください!!

そうなんです!!下唇はなるべく柔らかく使い!!リードの振動を阻害しないようにする!!それがポピュラーミュージック系サックス奏者に求められる豊かな音質を生み出すのです!!

音域の変化で下唇にかかる圧力は変わる!!

とはいえ音を出すために下唇にかける最低限の圧力は!!楽器の管の長さによって変わるのです。

具体的に言えば!!マウスピースとリードのセッティングを固定した場合!!長い菅を鳴らすのに必要な最低限の圧よりも!!短い菅を鳴らす最低限の圧の方が!!必要とされる下唇の圧力は高くなるのです!!

ここでサックスの音程を変える原理を考えてみましょう。サックスはフィガリングによって管の長さを変えて音程を作っています。低い音の時は管が長くなって高い音は管が短くなる構造!!

つまり!!低い音を鳴らす時の最適な下唇の圧力よりも!!高い音を鳴らす時の最適な下唇の圧力は高くなっている!!いくら下唇を柔らかく使うのが豊かな音を生み出す鉄則とはいえ!!それは音域によって変わっていくものなのです!!

マウスピースだけで音を鳴らすということ!!

楽器全体にマウスピースをつけた時よりも!!ネックとマウスピースだけで音を鳴らす時よりも!!マウスピースだけで音を鳴らす時って!!普通に考えたら通常の演奏ではありえないくらい管が短い状態ですよね??

ということは!!メチャメチャ下唇に圧力をかけないと!!ハッキリ言えばメチャクチャ噛んだ状態のアンブシュアでしか音は鳴らないはずなんです。手元に楽器がある方は試してみてください!!いつも演奏しているくらいの下唇の圧力でマウスピースだけで音が鳴るかどうか!!

ほら不思議!!上級者であればあるほどマウスピースだけで音を鳴らすのは困難じゃないですか??鳴らすにはメチャメチャ無理することになりませんか??

意味のない練習!!それは「マウスピースだけを吹く」こと

本当に初めてサックスに触る人であっても!!マウスピースを鳴らす感覚を覚えてもらう為であっても!!マウスピースだけで長期間音を出す練習をさせるのは百害あって一利なし!!カチコチに噛むアンブシュアがクセになってしまいます。

こんな指導がまかり通っているから!!下唇を柔らかくリードに当てるアンブシュアに矯正することが困難な生徒さんの!!いかに多いことか!!この指導!!何とか無くなってくれないですかね??

吹奏楽入部の新入生

吹奏楽部に入部してサックスというパートに配属された新入生!!そりゃあ最初は何もできないし

「とりあえずマウスピースだけしばらく吹かしておけ!!」

そうなっちゃうのはわかるんですけど!!カチコチの噛み噛みアンブシュアを量産する「マウスピースのみ」練習をさせるなら!!さっさとパートの先輩の側にでも座らせて!!練習の緊張感でも体験させてあげればいいのに!!なんて思うわけであります。

どのみち人前で吹いてなんぼのサックス!!緊張感に慣れさせて本番に強くさせることも心の鍛錬としては重要な要素だって思う!!今日この頃の筆者でございます。