店長の基本はアルトとテナー
ここのところ始めたこの「Wake up!」というお店の試奏動画のために!!色々と自宅(兼店舗)で録音することが増えてきた店長です。(試奏動画見てくださいね!)
入荷したばかりの楽器・・・自分の楽器ではない慣れない楽器を駆使して行う録音はなかなか大変です。(録音してから改めて当て振りで動画は撮っています。)しかも石井管楽器にリペアに出す前に録音、仕上がってきた状態で写真撮影などを行うのが常で!!入荷したばかりの楽器は決していい状態の楽器ばかりじゃありません。それでもなるべくリペア後はあまり使用せず!!いい状態でお客様に触れてもらいたいという思いから!!そういう工程で録音しています。それにしてもいろんな楽器を吹くのって意外に大変です。それでは今回は持ち替えのお話!!
ちなみに普段店長が奏者として基本に持ち運ぶ楽器はアルトとテナーです!!それに必要に応じてソプラノをプラスしたりフルートを持って行ったりします。たまにですがトロンボーンも追加(これは完全に店長の趣味)!!なんてこともあり、そうなるともう電車じゃ移動できません。それでも通常運ぶのが3本くらいまでは電車移動してます。誰も隣に座ってくれませんけどね!!まぁどんなに少ないセッティングだとしてもアルトとテナーは持ち運んでいる私店長です。
今回はそんな店長的目線で!!楽器の持ち替えについてお話したいと思います!!
アルトとテナーは全くの別の楽器
まずは基本的な前提を!!
同じサックスでも「アルトとテナーは全くの別の楽器」だということをまず念頭においてください!!
いままでも「ポピュラーサックスの手引き」というシリーズの中でさんざんお話しした内容ですが!!音域によるアンブシュアの変化!!下唇へのプレス具合の変化があります。基本なるべくリードには少ない圧力で下唇を当てるべきだと言いましたが、音域による下唇への圧力の変化というものはどうしても出てきてしまいます。
具体的には高音部では下唇にかかる最低限の圧力は高くなってしまいますし!!音域が下がるにつれ下唇にかかる(最低限の)圧力は下がっていきます。
必要となってくるシラブルの容積による息のスピードの変化も!!高音域と低音域で段階的に違います。ましてやアルトとテナーでは要求される音色も違ってくるでしょう。
以前私店長が若かりし頃!!店長の師匠がこう言っていました!!
「アルトとソプラノが上手い人はいる。テナーとソプラノが両方上手い人もいる!!でも!!アルトもテナーもどちらも上手い人はいない!!」
要はアルトの延長線上でソプラノは吹ける!!テナーの延長線上でソプラノは吹けるけど!!アルトのノウハウとテナーのノウハウは結構別物!!両立は難しい!!・・・・そう言われたことがあるんです。
確かに私店長もこんなことが!!私のテナーの音を聞いていた方に!!
「あれ?あなた専門はアルトじゃない??なんかそんな感じしたんだよね!!」
そう言われたことがあります。それ以来「サックスの藤丸です!!」って言う自己紹介が「アルトの藤丸です!!」に変わりました!!・・・ちょっとショックでしたけど!!
持ち替えをするにあたっては!!アルトとテナーどっちもメイン!!っていう気持ちは一旦忘れて!!どちらが自分のメイン楽器か!!キチンと決める必要があると思います。そこから!!メイン以外である楽器(テナーとかアルト)を違う楽器として区別して!!別のノウハウで吹いていく!!そういう意識が生まれるのではと思っています。
歌のバック演奏などでの持ち替え
よく歌手のバックで演奏する時に渡される譜面などでありがちなのは!!テナーを吹いていて一小節ちょっとしか休符がないのに「フルートに持ち替え」の指示が!!なんなんだこれ!!こんな短時間で持ち替えられるわけないだろ!!いったい編曲家は何を考えているんだ!!なんて憤ることがあります!!
この場合正解は!!「編曲家は何も考えていない!!」なのです!!実際持ち替えだからどうとかって視点では編曲家は仕事をしていないと思ってます。悪口じゃありません!!そういうものなのです。
他にも曲が連続で続く場合!!前の曲はアルト!!次の曲はテナー!!そういう指定の場面が多々あります。そんなさまざまな無理難題を解決する方法は!!
「取捨選択」これしかありません!!
フルート指定だったら絶対そこはフルート!!だったらちょっと前に持ち替えられるところでフルートにチェンジし!!テナーの譜面をフルートでそっと目立たず吹いて!!フルート指定のところをを迎えるとか!!
次の曲がテナーのイントロだったら!!前の曲の可能なところでテナーにチェンジし!!次の曲のテナーが絶対必要なイントロを乗り切る!!こういうことです!!
またはユニゾンで他のパートが同じフレーズやってるなら!!もうそこは休んじゃって持ち替える!!こういうことも必要になります。
全ては俯瞰で演奏を鑑み!!最良の「取捨選択」をする!!気持ちの強さと覚悟も必要となってきますが!!こういうことがステージ上では日常的に行われているのです。
しかもそうなると!!実音の譜面、テナーの譜面、アルトの譜面!!これをどの楽器でも!!どの譜面でも読めるっていう恐ろしいスキルも必要になってきます。ですから自分で書く譜面は私店長は基本実音表記!!そのほうが他のパートとの打ち合わせも楽だし!!なによりどの楽器を使うかを自分で決められますからね!!
空調によるリードの状態変化
持ち替えをしなければならない現場が多いと!!リハーサルの後どうしてもステージに楽器を置きっぱなしにしなければならない場合が出てきます。ここで結構な確率で起こる事件!!
置きっぱなしの楽器!!吹こうとするとリードがベロベロに波打ってしまってる!!こうなってしまってはもう大変!!しばらく口の中にリードを放り込み!!(アルトもテナーも両方ですよ!!)波打ちを解消すべくリードを舐めまくる!!もう本番すぐなのに!!
これ結構ありますよね!!ホテルの会場など何をそんなに乾燥させるのか!!ってくらいの除湿度合い!!そりゃリードも波打つわ!!どうしてくれる!!
・・・そんな対策として私店長はこうしてます!!マウスピースキャップに空いている穴にガムテなどで蓋をし!!密閉状態を作れるようにしております!!これでだいぶ「波打ち事件」の頻度も減りますよ!!
・・・しかしアルトで最近使っているセオワニのマウスピースでは合うキャップがそれほどなく!!ゴムキャップのようなものしか合いません!!それで最近は!!楽器は置きっぱなしだけど!!マウスピースは外して楽屋に持っていく!!これを徹底しております。そうするとお弁当タイムでも!!リードの状態が手元で管理できますからね!!
持ち替えの苦労
以上いろいろな苦労を伴う楽器の持ち替えですが!!それでも表現の幅も広がりますし!!なにより現場で必要とされる持ち替え!!キチンと持ち替えがうまくいくと!!達成感もあがります。今回は私店長の視点で持ち替えについてお話しました!!
言い忘れましたが!!チューニングも空調なんかでめちゃくちゃ変わりますから!!持ち替えの時は特に音程に気を使いながら微調整していくといいですね!!
おまけ!!リードの現実
私店長はアルトもテナーも!!リードをバン○レンのJava緑箱からダダリオのジャズセレクトに変えました。20年以上Javaを使ってきたのですが・・・ここ3年くらいずっと!!ハズレのリードに遭遇し続け!!もう流石に心折れての変更でした。ロットによって品質が違うのは当たり前だとは思いますが3年もリードに悩まされるとは!!
バ○ドレンさん品質管理どうなってるの??ダダリオがものすごくいいとは言いませんが!!ダダリオを試しに買ってみた時に3年ぶりくらいにまともなリードに遭遇した喜びは忘れられません。これが個人の感想です!!・・・・・で済めばいいんですけどね。それでいて常軌を逸した値上げ!!あきらかに自滅の道を辿ってる気がしてなりません。値上げはするけど景気の変動でも値下げはしない野○貿易さん。サックス文化・・・滅亡するよ!!