自分の伸び悩み・・まさか・・マウスピースや楽器のせいにしてない??

一年のご挨拶(楽器を販売してて思うこと)

5月をもちまして、当サックスショップ Wake Up!も一周年を迎えることができました。

途中身内の不幸などもあり、新小岩から現在の市川市柏井町に住居と店舗を移すというアクシデントもあり実質は半年ほど休止状態でしたが、現在は落ち着いた生活を送ることができています。

おかげさまで試奏に来ていただいた方々には楽器のリペア状態に非常にご満足いただいております。

その点は!!私店長がなによりも信頼するリペアショップ「石井管楽器」のリペアを施した楽器を商品として扱っている以上当然の結果とも思っています。なにしろヴィンテージや中古のサックスを商品にするという店舗を構える判断に至ったのは「石井管楽器」の存在があってこそなのです。そしてそのリペアを受けたというのが当店で取り扱う商品の最大の”ウリ”なのですから。

なんと試奏にご来店された方は100%購入に至っているという事実!!楽器の状態の良さはまさに「わかる方にはわかる」事ですので、ご来店になられた経験豊かな奏者の方々からの高評価は大変嬉しく思っております。

博打のようなお買い物

しかし・・・なかには通販にてポチッと!!高額の楽器をご購入いただける場合もあります。遠方のお客様という場合には致し方ない事だとは思います。そもそも商品そのものをつかってレコーディングし、当て振りをした試奏動画は!そんな方々のために安心して選んでいただけることを念頭に制作しております。

でも店長としての本音は、やはりご来店いただきご納得の上のご購入が望ましいと思っています。そして・・・言いにくいことですが・・・・同じ楽器、同じセッティングにしたところで!!同じ音が簡単に出るなんて・・・・・思わないでいただきたいのです。

これが前提

以下は、私店長が Wake Up!立ち上げの頃、お店のブログに載せた文章です。

まず初めにご理解いただきたいことがあります。よく色々なサイトに

  • マークシックスは渋い音が・・・
  • マークセブンは大音量に負けない・・

なんて書かれてあります。そういう記事を読んで「あの楽器を買えばあんな音が出るんだ!」なんて簡単には思わないで頂きたいんです。分類するとそういう傾向がある、ただそれだけなんです。

楽器には個体差があります。一概にこう!と言い切れるほど機種による差があるわけではありません。憧れの機種を試奏した時に「あれ?こんなものか?」と感じた方も多いでしょう。

テナーサックスの吐息混じりのようなサブトーン。デビッドサンボーンの様なファズトーン。(ご冥福をお祈りします。)色々なプレイヤーの憧れの音。それはほとんど全てそのプレーヤーの技術によって生み出されています。憧れの音を出すプレーヤーは!例え安価な楽器でもあの憧れの音を出すんです。(本人には違う音なのかもしれませんが聴く側には微々たる差であり、音の良し悪しは本人の技術によるものが大部分を占めているのです。)

筆者が若い頃、著名なスタジオプレイヤー(娘さんも有名歌手)のレコーディングを拝見させていただいたことがあります。その合間に見た光景・・・。その方はメイヤーの5Mくらいの中庸なマウスピースで、クラシカルな音からメタル的ギンギンなサウンドまでいとも簡単に吹き分けて見せてくれたのです。目から鱗の瞬間。もちろんその方はレコーディングで求められればその音の傾向にあったマウスピースにチェンジして吹いていました。しかし!どんなマウスピースでもどんな音も出せる!!この技術力に言葉も出ませんでした。

ラッカーの剥がれまくってよく吹き込まれたテナーのマークシックスは、確かに枯れた音を出すのに向いています。使い込まれたアルトのマークシックスはファズトーンがあたりやすい傾向にはあります。しかしそれはプレイヤーの技術あってこそ。その技術が楽器の傾向とマッチしている。ただそれだけなんです。楽器の音はあなたの力量の鏡であります。

・・・・・・ここからは本音です。

セッテイングやマウスピースなんて

皆様の中にはセッティングやマウスピースを変えるだけで、憧れのプレイヤーと同じ音が出る!!なんて錯覚している方はいませんか??

正直に申します!!いくら高額な楽器やマウスピースを使おうとも!!いい音なんてそう易々と出るもんじゃないんですよ!!そんなことより!!自分の根底にある実力を上げる努力をして欲しい!!そう思うことがいろいろなレッスンなどをする上で一番よく感じることです。

マウスピースやネジ!!色々頼りたくなる気持ちはわかります。でも!!もっと足元を見て!!自分の実力を底上げする方がよほど高くて怪しいネジを買うより!!ずっと音色の改善に繋がる、そう思って止まない店長なのであります。

当店のリペア

当店で扱う楽器は!!入荷時の段階で試奏用レコーディングをしてそこからリペアに出します。ですからリペア前の段階であってもある程度レコーディングなど可能な状態なんです。そこから「石井管楽器」のリペアを施していただき、写真撮影、ウェブへの商品掲載となります。ですからほとんどの場合試奏動画の演奏よりも楽器のコンディションはいい状態に仕上がっているのです。もちろん出荷前にはもう一度検品します。正直商品の状態には絶対の自信があります。

先日、ネットでご購入いただいたお客様から低音部のDの音がウルフトーンになるというお問い合わせがありました。色々とセッティングを変えたらなんとかなりそうな感じもしますとも言われました。もしリペアにご不満があるならば出荷先のご住所近くのリペアショップに出されてはどうでしょうか??その分の費用は当店が持ちます、とご回答しましたが・・・・・。たしかにね・・・技術が必要な音域ではあります。

・・・・この話はここまでに。でも!!セッティングやマウスピース、リードを変えればなんとかなる・・・・その前に考えることがあるのでは・・・なんて思ってしまいました。近くなら・・・・いくらでも音出しのご指南にいくのにな~。