ポピュラー系サックスのアンブシュア

そもそもアンブシュアとは

今回はジャズを含むポピュラー系サックスのアンブシュアについてお話しようと思います。

Wikipediaによりますと

アンブシュアとは、管楽器の演奏者が、楽器を吹くときの口の形およびその機能のことである。

とあります。

今回解説するアンブシュアをどうしてポピュラー系サックスの・・・とあえていうかと言いますと、クラッシック系サックスのアンブシュアとポピュラー系サックスのアンブシュアにはかなり方向性に違いがあると私は考えています。

もちろん息の使い方、口腔内の作り方など共通する部分も多々あります。しかし唇の使い方には大きな違いがあるとハッキリ言えます。

先に結論を言ってしまうと、ポピュラー系サックスのアンブシュアは下唇の使い方がクラシックとは異なり、柔らかくリードにプレッシャーをかけている状態だと言えます。それによりクラシックとは違う方向性の豊かな音色、幅のある表現が可能となります。

シンリップ奏法

クラシックの奏法ではマウスピースを咥えるときに下唇を下の前歯に巻き込むように指導される場合が多いと思います。下の歯の圧力がリードにダイレクトにかかる感じ。雑味のない澄んだ音色を求めるクラシックの場合こういう奏法が求められる傾向にあります。いわゆる「シンリップ奏法」というアンブシュアです。それはそれで一つの完成系なのかもしれません。

でも!!この「シンリップ奏法」に謎の「上級者は厚めのリードを使うもの」という悪しき習慣が加わるとただただ鳴らしきれてないリードの振動、いわゆる「モ〜」っとこもった音を

「柔らかい音!!」

なんて有難がるという現象が起きてしまいます。

そういう奏者は大体の場合下唇にかかる圧に耐えられず下の前歯にクッションのための紙を被せたりしていますね。それがクラシックの奏法だと言われればそれまでですが・・・。

スーパーのBGM!!

そういうクラシックの奏者はもちろん自信も満々!!クラシックができるならポピュラー畑のサックスも余裕でスイスイ!!そう考えてらっしゃる節があります。(すみません偏見ですね!!)

ですが!!たまにスーパーなどでヒットしたポピュラーソングをインストルメンタルにしたBGMの!!メロディを吹くサックスを聞いて!!皆様も感じたことあるんじゃないでしょうか??

「なんだこの下手くそなサックスは??」って。

綺麗にメロディは吹いているけれど・・・・なんだこのか細くて貧弱な音は!!全くお話にならない!!・・・・・サックスを吹いている方ならそう感じたこと絶対あるはず!!

・・・でもそれってあまり責めないであげて欲しいんです。きっとクラシック系の奏者が仕事としてポピュラー音楽のメロディを吹いた!!それが真相なんですよ!!やっぱりポピュラー音楽はポピュラー系サックス奏者が吹かないと形になりません。「餅は餅屋」って諺もあります。それぞれ棲み分けられているんですからね!!

我々ポピュラー系サックス奏者は「クラシックもできる!!」なんて軽々しく思っておりません。自分の分野で頑張ってるだけ!!クラシックとは全く違うんですから。

・・・・何が違うかって??ハッキリ言えば音色です!!

ファットリップ奏法?

ジャズやポピュラー系のサックス奏者が大切にしていることの中に大きな要素として「音色」があると思います。

特別な自分だけの音色。息の雑味も魅力として捉えた枯れた音色。太く豊かな響き。たっぷりと息の流れを感じるサブトーン。あるいはデヴィッド・サンボーンに代表される高音でのファズトーン。これらポピュラー系サックスに必須のテクニック!!この全てが下唇の柔らかな使い方が求められるテクニックとして成り立っている!!そう言われたら俄然興味が湧いて来ませんか??

ちなみに「ファットリップ奏法」って銘打っているものの!!私がお勧めするのはいわゆる「ファットリップ奏法」とは少し違うのかもしれません。そもそもファットリップ奏法とは色々なサイトで「下唇を外側にめくってマウスピースにあてがう」と説明されているところが多いのですが、これは昔魅力的な音色の黒人奏者を見て広まった説なのです。

黒人さんは下唇が厚めの場合が多く、日本人がそれを真似ようとした場合、外見から似せるために唇を外側にめくったという事に由来していると思われます。黒人さんの奏者はただただ普通に咥えていただけなのに!!

そうではなく!!マウスピースを加えたときに自然に下唇がプッシュされる範囲で下唇を柔らかく使うのがいい!!と私は思っています!!

名付けるなら「真・ファットリップ」とでも言いましょうか??

次回は実際のアンブシュアの作り方、下唇のマウスピースへの当て方などを具体的に書いていこうと思います。