マークセブン(1974~1980年)
マークセブンはマークシックスの後継機種として設計されました。
時代的にバンドサウンドにエレクトリックな要素が加わってきたこの頃(従来のギターアンプに加えシンセサイザーなど)生楽器のサックスにも音量を求められる傾向がありました。
70年代にハイバッフルのマウスピース、デュコフなどが流行したのも時代背景が関係しています。マークセブンは時代のニーズに応え、管体は厚く、より音量を稼げる楽器として登場しました。
とはいえセルマーは一世代に一機種しか製造しない方針でしたのでもちろんクラシックの奏者にも愛用されていました。バンドサウンドのニーズに応えた側面はあると思いますがポピュラー音楽専門の楽器というわけではありません。(ちなみに一世代に一機種という前提が崩れたのはシリーズ3発売の時でした。)
ちなみにマークセブンの製造が始まっても、ソプラノとバリトンはマークシックスの製造がしばらく続行されていたようです。(1980年頃まで。)
石井管楽器 石井隼人さんに伺ったのですが、バリトンは管体、部品共にマークシックスのまま、はっきり言ってしまうとマークシックスそのもののまま(プレートなどを少しいじった状態で)マークセブンとして発売されていたようです。しかもその個体も相当少ないとのこと。
ソプラノに至っては筆者はマークセブンの個体を見たことがありません。
楽器は育てるもの
管体の厚さや大きなテーブルキーへの変更など、発売当初一部の奏者の間ではあまり評判は良くなかった様です。特にこの頃のセルマーからジュビリー前までのシリーズ2あたりに共通する認識である「楽器は長期かけて育てるもの」という認識はマークセブンから顕著になった様な気がします。
うまく育てられたマークセブンの音色は豊かで太さもありとても魅力的です。
筆者もアルトは現在 新古品で手に入れたマークセブンを7年くらい使用しています。
こればかりは手放す気になれません。ちなみにいつもお世話になっている石井管楽器さんでは大ぶりなマークセブンのキーの改造なども請け負ってくれる様です。
著者はそこまで神経質になれなかったので純正のまま使用しています。
楽器は個体差
肺活量、体力的な側面は個人差があるのはいうまでもないですが、アルトとテナーを吹くときの息の使い方は若干違います。
アルトのつもりでテナーを吹いた場合、すぐにスタミナ切れを起こすのは皆様も想像しやすいと思います。
テナーを吹くときは己の息の量の限界、体力などを鑑みて「テナーを吹くモードで」息をコントロールする必要があります。
体力や息がもしも無尽蔵にあると仮定した場合は より厚いリード、より管体の厚い楽器がいい音を得られる、簡単に考えるとそう思ってしまいがちです。
しかし人間には体力や息の限りがあります。
己の身の丈にあった息の使い方とリードでテナーと向き合う必要があります。
ちなみに楽器にも個体差がありマークシックスよりも鳴りやすいマークセブンもありますし逆もまた然り。
数十年前に作られた楽器は新品時の傾向と違い使用状況などで個体差がかなりあります。
ですからネットに出ている傾向などは頭の片隅に置いておいて試奏して確かめるのを優先した方がいいでしょう。
ヴィンテージ楽器こそ個体差が激しいのですから。