近年のシリーズ2とシリーズ3(ジュビリー以降)
ジュビリー以前のシリーズ2は管体が厚めで良い響きを得るまでには育てる期間が必要でした。しかしその分育った楽器はとても豊かな鳴りを得られる楽器です。
ジュビリー以前のシリーズ3は2よりもやや管体が薄めで、アルトに関しての話ですが新品を手にした日からよく鳴る楽器であった様に思います。
筆者もシリーズ3のアルトに憧れ、購入を検討しましたが当時の師匠に止められシリーズ2のアルトを購入した覚えがあります。とっつき易いものは、最初はいいのですが徐々に物足りなさを感じる様になる・・・。そんなところがジャズ奏者などには不評だったのかもしれません。
少なくとも筆者の周りの奏者の評判はあまり良くありませんでした。
同じようにマークセブンより重量の軽いマークシックスのアルトはそんな評価ではなかったのが不思議なところです。先輩方の意見ではマークシックスはウエイトをのせて吹いてもちゃんと受け止めてくれるとのことでした。(当時はまだマークシックスのアルトに触れたことがない筆者でした。)
ジュビリー以前のテナーのシリーズ3は、以前にも書きましたがとてもバランスが良く、良い音を鳴らすための息の使い方などはマークシックスに通じるものがあり、私の周りの奏者にも使用者が多かったです。筆者もブラッシュドサテンのテナーを長年愛用していました。
近年、ジュビリー以降のシリーズ2、シリーズ3はともに二段階くらい(と感じるほど)管体が薄くなってしまいました。
特にテナーの3は少しウエイトを乗せるとメリメリとした音が鳴るほど軽くなった気がします。相当な管の薄さなんだなという感じです。
筆者も新古品のテナーのジュビリーの3を手に入れましたが正直全く使い物にならず1ヶ月ほどで手放しました。
ある現場で対バンのテナー奏者の音を聞いていたら例のメリメリという音を感じたので使用楽器をお尋ねしたところやはりジュビリーの3でした。ピックアップマイクを通してリバーブなどもかかっていても全面に出てくるメリメリ感。
テナーのジュビリーの3はどの層が使うのでしょうか?クラシックの奏者には評判いいのでしょうか??
逆にジュビリーの2はバランスが良いと思いました。
以前生徒さんがテナーを購入するということで選定にお付き合いしたことがあります。
ジュビリーの2とか3とかが6本ほど並んでいて、その中から銘柄にこだわらずに良いと思うものを選んでみたのですが、驚くほど滑らかで上から下まで均一な鳴り、かなり気に入った個体はジュビリーの2でした。
後にも先にも試奏でこれ欲しい!!と直感したのはこの時だけです。生徒さんもそのジュビリーの2を購入しました。
アルトに関しては残念ながらジュビリー以降の楽器とまだ触れ合えていません。筆者がヴィンテージ楽器に傾倒して新品の楽器に対する関心が薄れたことも要因です。
シュプレームやシグネーチャーが発売になりましたがリファレンス、シリーズ3の製造は終わってしまいました。
ジュビリー以降のシリーズ3の評判が世間的にも良くなかったのでしょうか?世の中のユーザーの皆様も筆者と同じ気持ちだったのかもしれません。
余談ですが先日ソプラノのマークシックスを初めて吹いてみました。
その頃の楽器は音痴なんて揶揄されることもありますが、シリーズ3のソプラノの感覚で吹くと高音域が徐々に上ずっていく感じがありました。しかし音程感には幅があるといいますか、自分のコントロール次第で割と楽に音程の調整ができるなと感じました。
シリーズ3のソプラノは音程を楽器預けて吹いても結構いいピッチにあたる感覚ですが、マークシックスのソプラノは音程を狙って吹く感じで吹かねばならないなと思いました。要は幅のある音程感から自分で狙いをつけて吹く感じです。
慣れれば大した問題ではなさそうですが楽器に音程を預けると音痴!!ということになりかねないと思いました。その分操り易い音程感ですし表現の幅は広がる予感です。
これこそがマークシックスのソプラノの長所であり短所でもあるのではないでしょうか?
音程は自己責任ですが幅広い表現が可能である。悪くない選択だと思います。
ちなみにシュプレームは楽器が音程を作ってくれる様なレビューを拝見しました。
割と音程が楽器に固定されている様な吹き心地なのかもしれません。もちろん触れたこともないのでなんとも言えませんが・・・。